【テレビ出演】
11月1日(月) よる8:00放送
TBS『千鳥のかいつまんで教えてほしいんじゃ!』に工藤孝文院長が出演します。
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日本政府が、米製薬大手メルクが開発を進める新型コロナウイルス感染症の飲み薬について、年内にも特例承認し、調達する方向で同社側と協議に入ったというニュースが注目を集めています。
・メルクが開発進める飲み薬の効果は?
・対象になる人は?飲み方は?
・承認されると新型コロナウイルスを巡る環境はどう変わる?
・まとめ
メルクが開発進める飲み薬の効果は?
メルクが開発を進める飲み薬の効果について教えてください。
「今回話題になっている飲み薬は『モルヌピラビル』という名前の薬です。メルクが米生物医薬品企業リッジバック・バイオセラピューティクスと共同で開発したもので、患者775人を対象に後期臨床試験を実施しました。検査では約半数の患者に『モルヌピラビル』を、残りの患者には偽薬を5日間投与しました。その結果、29日目までに入院した割合は、偽薬を投与されたグループでは14.1%に上ったのに対し、『モルヌピラビル』を投与された患者では7.3%と、およそ半分に減少したというデータが得られました。また、偽薬投与グループでは8人が死亡しましたが、『モルヌピラビル』を投与されたグループでは死者は出ませんでした。有効性は感染力の強い「デルタ株」を含む変異株に対しても維持され、安全性も高いとされています」
対象になる人は?飲み方は?
『モルヌピラビル』の対象になる人と飲み方について教えてください。
「今回の臨床試験では発症から5日以内の患者の方を対象として行われましたので、発症から早い段階で飲むと効果があると言えそうです。日本国内で承認された際に、接種対象などの指針も出されると思うので、そこに従った運用になるかと思います。飲み方としては1日2回、5日間服用することになります。このことで体内でウイルスの増殖を抑え、重症化を防ぐ効果があるとされています」
承認されると新型コロナウイルスを巡る環境はどう変わる?
『モルヌピラビル』が承認されると新型コロナウイルスを巡る環境はどう変わりますか?
「全世界的に考えてみると、医療関係者や一般の方にとってコロナが簡便に治療できる病気になれば「ポストコロナ」への足掛かりになることは間違いないと思います。一方日本ではコロナワクチンの接種が進み無症候感染者も増加してきており、この治療薬の対象となる軽症段階での患者の割り出しが困難になっているのが現状です。日本でもこの治療薬が積極的かつ有効に活用されるようになるには、この感染初期の軽症患者をいかに素早く検出できるようになるか、が課題となるでしょう。」
まとめ
メルクは今月中に臨床試験を終えて、11月にもFDA=米食品医薬品局に緊急使用許可を申請する方針ということで、認められれば世界初の軽症者向け経口薬となります。ワクチンを合わせて活用することで新型コロナウイルスへの有効な手段になることが期待されます。
塩野義製薬が開発中の新型コロナウイルス治療薬について、最終段階の臨床試験を12月に終了させ、今年度中の供給開始を目指すと発表しました。
・塩野義製薬が開発中の治療薬とは?
・治療薬の供給が始まると治療体制はどう変化する?
・抗体カクテル療法と治療薬の使い分けは?
・まとめ
塩野義製薬が開発中の治療薬とは?
塩野義製薬が開発を進める治療薬について教えてください。
「塩野義製薬が現在開発を進めている治療薬はウイルスの増殖を抑制するもので、軽症者や無症状者向けの飲み薬になります。感染初期に1日1回、5日間自宅などで服用することで重症化を防ぐ効果が期待されています。先月27日に医療機関の入院患者やホテルの宿泊療養者など約2100人を対象にした最終段階の治験を国内で始めていて、12月には治験を終了させて年度内に最低100万人分を用意するとしています。」
治療薬の供給が始まると治療体制はどう変化する?
治療薬の供給が始まると、これまでの治療体制から変化は出ると思いますか?
具体的にどのようなことを期待されますか?
「現在自宅療養の患者さんに対して治療の選択肢は限られていて、設備や制度の都合でなかなか治療ができないこともままありました。今後飲み薬が普及すればより多くの患者さんが救われることは間違いありません。また、服用が簡便ですので、外来での治療ができるようになれば医療のひっ迫も緩和できるようになると期待しています。」
抗体カクテル療法と治療薬の使い分けは?
すでに行われている抗体カクテル療法と新たな治療薬はどのように使い分けられることになりそうですか?
「抗体カクテル療法では点滴での投与を行いますので、入院患者へは比較的投与のハードルが低いものの、自宅療養を行っている患者などに対しては使いにくいものでした。今後、経口薬が普及すれば、自宅療養を行っている患者に対しても効率的に治療を行えるため、よりスピーディーな治療ができるようになるかと思います。2つの薬剤は作用する点が違いますので、併用すれば重症患者に対してより強い効果が期待できるのかなども注目されます。※抗体療法と経口薬の特徴を踏まえた上で先生のご意見を教えてください。」
まとめ
新型コロナ治療薬は塩野義製薬の他にメルクやファイザー、ロシュ社でも開発が進んでいます。治療の選択肢が増えることで、新型コロナウイルスの克服に向かって前進することが期待されます。
アメリカの疾病対策センター=CDCはアメリカで承認されている3種類の新型コロナウイルスワクチンのうち、モデルナ製のワクチンがもっとも入院の予防効果が高いことがわかりました。
・今回の発表の内容とは?
・なぜモデルナ製のワクチンが優れた結果を出したのか?
・メッセンジャーRNAワクチンの方が優れていると考えていいものなのか?
・まとめ
今回の発表の内容とは?
今回の発表内容について教えてください。
「今回の発表はCDCはが今年の3月11日から8月15日に米国の医療機関21施設に入院した18歳以上の3,689人を対象に症例対照研究を実施した結果です。米国で承認済みのメッセンジャーRNAワクチンである、モデルナ製とファイザー製、あと1回接種タイプのアデノウイルスベクターワクチンであるジョンソン・エンド・ジョンソン製の計3種のワクチンの入院の予防効果を検証しました。その結果、全期間中の入院予防効果は、モデルナ製が93%、ファイザー製が88%、J&J製が68%と、モデルナ製が最も優位性を示しました。また接種後121日以降の入院予防効果の変化についても、モデルナ製は92%の効果を維持するという結果が出ています。これは接種後121日以降の入院予防効果77%に減少したファイザー製に比べると優位性が示されたと言えます」
なぜモデルナ製のワクチンが優れた結果を出したのか?
なぜモデルナ製のワクチンが優れた結果を出したのか教えてください。
「理由についてははっきりしたことはまだ明らかになっていませんが、モデルナ製の接種量がファイザー製の30マイクログラムよりも多い100マイクログラムであることが原因である可能性があると指摘されています。また、接種2回の間隔について、ファイザー製が3週間なのに対し、モデルナ製は4週間であることが関係している可能性もあるとも指摘されています。いずれにしても今後も新たな研究結果が出てくると思うので、その過程で明らかになる部分もあるかと思います。」
メッセンジャーRNAワクチンの方が優れていると考えていいものなのか?
今回の結果では、メッセンジャーRNAワクチンがアデノウイルスベクターワクチンよりも効果が高い結果が出ました。このことからメッセンジャーRNAワクチンの方が優れていると考えてもいいのでしょうか?
「今回メッセンジャーRNAワクチンの方が今回高い効果を示していましたが、近年開発された技術であり解明されていないことも多くある点、壊れやすく保存や輸送に注意が必要という点などもあげられています。一方アデノウイルスベクターのワクチンは今回入院予防効果が低い結果となったものの、長年開発されてきたことから、知見が多くあるというメリットもあります。このように一長一短ですので、一概にどちらが優れているというのは困難です。今後、どうしてこのような結果になったのか、より詳細な研究がまたれます。」
まとめ
新型コロナウイルスに感染した際に入院するまでに重症化することへの予防効果がモデルナ製のものが最も低いことがアメリカCDCの発表で示されました。新型コロナウイルス感染拡大防止として重要なワクチンに関する情報には今後も注目が集まりそうです。
田村憲久厚生労働相は17日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルスの重症化を防ぐ抗体カクテル療法を患者宅で行うモデル事業の開始時期について「きょう、あす(からの実施)もあるかもしれない」とし、早ければ今週末の往診から実施する考えを示しました。同日、全国初の患者宅での抗体カクテル療法が大阪府で実施されました。
抗体カクテル療法とは?
「新型コロナウイルスが増殖するのを防ぐ、2種類(カシリビマブ、イムデビマブ)の抗体を混ぜ合わせて使用するため、抗体カクテル療法といいます。抗体がウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質に結合し、人の細胞に侵入するのを防ぎます。発症から7日以内の軽症から中等症、特に肺炎を起こしていない初期の患者に投与することで、ウイルスの増殖を阻止し、重症化を防ぐ効果があります。」
現状は?
「これまで抗体カクテル療法は主に入院患者に実施されてきました。外来診療でも可能ですが、容体の急変などに対応する必要があるため、自宅療養者への往診では認められていませんでした。自宅療養者への往診での使用は今月17日に大阪府で初めて行われました。厚生労働省のモデル事業として先行して実施されたもので、軽症で重症化リスクのある30歳代の女性に点滴薬を投与しました」
全国展開は進む?
政府はモデル事業を通じ、自宅での容体変化に対応できる体制づくりを目指した上で、全国展開を図る方針ですが、実際に全国展開は進むのでしょうか?
「全国展開には今後の感染状況や、ワクチンの接種状況、医療現場のひっ迫状況などの因子が絡んでくるので一概には言えませんが、少なくとも実施地域の拡大は進むと思います。特に基礎疾患があるなど、重症化のリスク因子のある方に対しては軽症の段階で治療できるメリットがありますので、使われる機会は増えるでしょう。全国的な拡大には治療後のフォロー体制の構築が障害になるでしょう。今後抗体カクテル療法の知見が集まり、不都合が生じた際にも対応ができるようになれば急速に拡大するのではないかと考えています。」
まとめ
田村厚労相は「やりたいところ(医療機関)があれば手を挙げてほしい」と呼び掛けていますが、今後どれくらいのスピードで広まっていくのか、注目したいですね。
最近、外来で『サイバー心気症』、『コロナ心気症』が増えてきています。
そもそも心気症とは、自分自身が重い病気になっている、かかっているのではと思い悩み、大きな不安や緊張が続く状態のことを言います。色々な病院で、さまざまな検査・ドクターショッピングを行っても、データ上は、特にどこにも異常がなく、大病にかかっているかも、感染症にかかるかも、といった不安や緊張を、払拭することができなくなります。
しかし、検査をいくらしても病気の診断がつくことがなく、いくつもの病院を受診するようになり、て日常生活にまで悪影響がでてきます。そのまま症状が続くと、仕事のパフォーマンスが落ちていき、普段できたいた仕事するこも困難となってきます。
長い自粛生活の影響で、インターネット検索やSNSを見る機会が増えています。これにより、最近は、自分の症状に対しての不安をインターネットやSNSで何度も検索して、不安が増幅していく「サイバー心気症」や、感染者が増えている新型コロナウイルスのニュースなどを繰り返す見ることで感染してしまうのではないかと、必要以上に不安感が強くなってしまう「コロナ心気症」も明らかに増えてきています。
心気症の治療は、しっかり、検査結果を説明すること、お話を聞いて不安を取り除くこと、必要に応じで、生活指導や、漢方治療などお薬を使うと、心気症は徐々に改善しいきます。心当たりがある人は、自分が「サイバー心気症」「コロナ心気症」に当てはまる場合は、スマートフォンなどを決まった時間は触らないことからはじめるのも効果的だと思います。
大変な未曽有の時代になりましたが、このような心気症も災害時などに生じる災害不調のひとつだと考えています。災害不調の治療は、なるべく原始的な生活をすることです。情報過多のこの時代に自然と触れ合う、カラダを動かすなど原始人の生活を少しずつとりいれる、過度な不安を取り除くことが重要です。
人間はもともと、自然の一部なんです。
是非お試しになってみてください。
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